株式会社海帆は名古屋を中心とする東海地方を拠点に、居酒屋チェーン「昭和食堂」などを運営しています。
個性的で洗練されたさまざまなブランドの店舗を展開する傍ら、これまでも飲食業界だけにこだわらないアグレッシブなM&A(企業買収)を通し、事業のシナジー効果を高めてきました。
コロナ禍の中でも元気な経営姿勢を貫く株式会社海帆が次にリリースしたニュースも、世の中をあっと驚かせるものでした。
それは一体、どんな内容なのでしょうか?2022年12月に公表されたニュースを、改めて振り返ってみましょう。
株式会社海帆はどんな会社?
株式会社海帆が創業したのは2003年です。
発祥の地である名古屋市内に「なつかし処 昭和食堂小幡店」を開業してから東海、九州、関西、関東で順調に店舗数を増やし、2015年には旧東証マザーズ市場(現・東証グロース市場)に上場しました。
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積極的な吸収合併で事業を拡大
2009年に広告代理店業務の内製化を目指して「アドハン」を吸収合併し、2010年には「昭和食堂」を運営していた「中京ニックス」から9店舗を取得。2012年には「魚帆」を100%子会社化しました。
上場後もM&Aの手を緩めず、2019年には「立ち食い焼肉 治郎丸」を取得するなどして業容を拡大しています。
コロナ禍が深刻化した2021年には、低価格居酒屋の業態である「新時代」のフランチャイズ契約を結び、2022年も「すずの邸」「鳥魚門」「桂」などのブランドで居酒屋19店舗を展開していた東京の「SSS(スリーエス)」を子会社化しました。
太陽光発電事業にも進出
株式会社海帆は2022年、100%出資の子会社「KAIHAN ENERGY JAPAN合同会社」も設立しました。
現代社会で問題視されているフードロスを再利用したバイオマス発電事業や太陽光発電事業で栽培した農作物を自社の店舗で提供することなどを通し、サスティナブルな社会の実現に貢献するという目標を掲げています。
創業360年の老舗和菓子店「大三萬年堂」とタッグ
さらに、株式会社海帆の2022年の動きは、これで終わらなかったのです。
年の瀬も押し迫る12月27日の取締役会で決議されたのは、株式会社海帆の子会社である株式会社エストの第三者割当増資でした。
割当先は、江戸時代中期の創業から360年余りの歴史を誇る老舗和菓子店「大三萬年堂」を運営する株式会社HANAREです。
株式会社エストは2020年6月に株式会社海帆が設立し、飲食事業の一部業態を分離して展開することが検討されていましたが、コロナ禍の影響で休眠状態のままとなっていました。
「大三萬年堂」の口コミ・評判は?
株式会社海帆は、和菓子を通して日本の伝統文化の魅力を伝えている株式会社HANAREの事業に共感。古くから日本で愛されている居酒屋事業との共通点も見いだしたことで、第三者割当増資を決定したようです。
では、「大三萬年堂」とはどんなブランドなのでしょうか?スイーツとカフェの口コミ・評判を見てみましょう。
江戸時代中期に創業のお店!店内も白を基調として落ち着ける!ここの抹茶スイーツのクオリティーは本当に高いので、ぜひ行ってほしい!カップル、女子会におすすめですね!
引用元:『』by takumi__room : 大三萬年堂ハナレ (大三萬年堂HANARE) – 新御茶ノ水/カフェ [食べログ] (tabelog.com)
素敵なサプライズ誕生日ができました。抹茶チーズケーキはワインにも合って、くどくなく食べやすくペロリと食べてしまいました。また利用したいと思います。
これらの口コミ・評判を見ても、「大三萬年堂」は老舗に相応しいブランドが出来上がっていると言えるでしょう。
スイーツを展開する新たな飲食店舗も計画
株式会社エストの称号は2023年1月6日をもって株式会社大三萬年堂LABに変更され、今後は「ワンランク上の和菓子ブランドを中心としたスイーツ」を展開する飲食店舗の出店などを計画しています。
なお、増資によって調達した資金は、商品の開発や事業を推進するための人材獲得および人件費などに充当される予定です。
異業種参入を可能にした吉川元宏社長の存在
株式会社海帆の吉川元宏社長は1977年6月生まれ。まだ45歳の若手企業家ですが、32歳のときから数々の企業の代表取締役を務めています。
再生可能エネルギーやインテリア、健康食品など経験してきた業種も幅広いことから、経営者としての手腕がいかに優れているかは一目瞭然でしょう。
株式会社海帆には2022年3月に社外取締役として迎えられ、6月に取締役に異動。7月には代表取締役副社長、8月に代表取締役社長に就任しました。
社外取締役となってからわずか5カ月間でトップに上り詰めた実績を見ても、経営者としての手腕が高く買われていることが分かります。
シナジー効果を理解しているからこその決断
飲食業にこだわってきた株式会社海帆の再生可能エネルギー事業と和菓子事業への参入決断は、異業種の組み合わせが生むシナジー効果に精通した吉川元宏社長の深い知見がなければ成されなかったと言えるでしょう。
直近の売上高はV字回復
株式会社海帆は創業間もない段階から経営体力の強化を目指した規模拡大を目指し、自社の企業価値を最大限に高める姿勢を貫いてきました。
2023年3月期第2四半期(7~9月)の連結最終損益は赤字ですが、累計売上高は359%もの大幅増収を達成。コロナ禍のダメージからの完全復活を目指し、懸命な企業努力を続けています。
株式会社海帆のまとめ
株式会社海帆の企業理念は「幸せな食文化の創造」です。展開している数多くのブランドも、新しい食文化の醸成を通した地域の活性化や人々の幸せにつながるコンセプトづくりを大切にしています。
異業種を含めた参入を活発化させることで、店舗運営や原材料の仕入れなどにとどまらないシナジー効果を生むこともできるでしょう。
収益基盤の強化に役立つのはもちろん、和菓子事業と居酒屋事業の組み合わせのように、既存の商品・サービスの魅力もさらに高まるはずです。
「幸せな食文化の創造」にまい進する株式会社海帆の取り組みが世の中をどれだけ面白くしてくれるのか、楽しみが増すばかりです。