本日のホワイト企業診断の対象企業は「ウットラムグループ」です。
「シンガポール塗料大手」と謳われるウットラムグループですが、最近では「日本ペイント」の買収関係のニュースがネット上で話題に上がっているのを頻繁に目にします。
今回、ウットラムグループの存在を知る事になったキッカケも、日本ペイント関連のニュースを見たからですが、ここにはどのような思惑があり、そしてウットラムグループのホワイト企業度がどの程度なのか、個人的に調べてみたくなりました!
では、まずはウットラムグループの概要から見ていきましょう。
Contents
1.ウットラムグループの概要
ウットラムグループは、1974年に設立された企業で、シンガポールや香港の九龍などに拠点を置いています。
主に塗料を取り扱っている企業であり、ウットラムグループが設立される前から日本の塗料企業の中でも大手である日本ペイントとの合併事業を展開している企業でもあります。
そんなウットラムグループをまとめあげているのが、ゴー・ハップジン氏です。
ゴー・ハップジン氏は2014年から2018年3月まで日本ペイントの取締役会長及び常務取締役会長も務めていました。
2.ウットラムグループの自由分析
以上から、ウットラムグループと日本ペイントの繋がりの深さが伺えますが、企業同士というよりも、どちからといえばゴー氏個人との関係性の方が際立っているように考えられます。
では、塗料を扱う海外企業と日本企業がタッグを組む事で、どのようなメリットが発生するのでしょう?
まず、ウットラムグループの強みとしては、やはり日本ペイントとの合弁事業ということもあり、塗料製品の質の高さなどが挙げられます。
海外では日本製品のクオリティの高さに注目を集めていますが、ウットラムグループは日本ペイントの製品づくりのノウハウをそのままに海外のそれぞれの地域で通用する塗料づくり・販売を行っています。
このクオリティがあってこそ、アジアを中心に自動車や住宅、家電製品など、様々な製品への塗料として使われているのだと言えるでしょう。
つまり、塗料メーカー大手のウットラムグループが日本ペイントとの繋がりを得ることで、アジア圏への販売ルートを拡大することが可能になり、同時に日本ペイントは自社製品のクオリティの高さを海外にアピールする機会を得る・・・というメリットが両社に発生するものと推測します。
3.ウットラムグループの製品・サービスについての口コミ&評判を分析
次に、ウットラムグループが販売する製品の質を見ていきます。
ウットラムグループの製品やサービスに関する口コミや評判などは見られませんでしたが、製品づくりに対するこだわりなどは日本ペイントと繋がるものがあります。
そこで、日本ペイントの製品に関する口コミを集めてみました。
数ある塗料メーカーの中でも私が特に好んで使用しているのが日本ペイントの塗料になります。日本ペイントは国内1.2を争う大手のメーカーだから、という理由で使っているのではありません。大きく言うと
・塗料品質が安定していること。
・戸建て住宅塗装のフォロー体制がしっかりしていること。
この2点で採用しています。特に戸建て住宅のフォローという点では随分と助かっています。
塗料はどちらかというとBtoB向けの商品であるため、使用する方はプロが多いです。
そんなプロに認められるような商品を作っていかなければ、いくらブランド性があったとしても段々とボロが見えてしまうでしょう。
しかし、品質が安定していることで塗装業者側も使いやすく、フォロー体制も万全なことから日本の塗装業者から選ばれることが多いです。
ウットラムグループも基本的にはプロが使う塗料を取り扱っているため、安定した品質を誇る製品づくりを行っていると言えるでしょう。
「安定した品質」という点に関しては、日本メーカーがつくる製品にしかない魅力だと思います。繊細かつ丁寧に製品を製造し、昔ながらの「ものづくり精神」を長年にわたり受け継いでいく事は、日本ならではの美点でしょう。
また、神社や寺社仏閣、日本家屋など、独特の建物構造が、きっと日本の塗料技術を海外メーカーも認めるまでに育て上げたのかもしれません。
以上の点が、ウットラムグループが、そしてゴー氏が日本ペイントを選んだ最大の理由だと考えます。
4.ウットラムグループの採用についての口コミ&評判を分析
ここまで、ウットラムグループに対する評価を「外部」から探ってきましたが、ここでは「内部」から考察し、より同社への理解を深めていくつもりです。
では、ウットラムグループの採用について見ていきましょう。
ウットラムグループの採用に関する口コミや評判も見られませんでしたが、実は2018年に日本ペイントの取締役会員10人に対し、ウットラムグループから取締役候補を6人選任するようにゴー・ハップジン氏が提案してきたのです。
ウットラムグループからの提案によって日本ペイント内は揺れ動きました。
なぜ、ウットラムグループは取締役候補を過半数を超える6人も提案したのでしょう?
ゴー・ハップジン氏によると、株主価値を最大化させることが目標であり、日本ペイントを乗っ取ろうとしているわけではないとしています。
また、この取締役候補6人というのはゴー・ハップジン氏自身に加え、これまで塗料業界とは全くの無縁だった5人を選任しています。
この理由として、あくまでも専任するのは社外における取締役であり、社内からではなく外から見ることによって経営に落ち度がないかどうかをチェックすることが社外取締役の務めだそうです。
この戦略に対して、なぜ早く提案してくれなかったのかなどのポジティブな意見がある一方で、今回の株主提案により少数・個人株主の利益がなくなってしまうのではないかとの不安の声も挙がっていました。
話しは変わりますが、その国の建物構造の変遷によって、時代ごとに必要とされる塗料技術は異なります。
革新的な塗料技術に詳しい人間はどの時代でも必要とされるでしょうし、しかし同時に、「基本」をきちんとおさえている技術者の存在も重要です。
そして、変化する技術のノウハウを売り物にする人間がいることで、ビジネスは成立する。
そうやって、様々な角度から商材と向き合える人間を揃えることが、ゴー氏の今回の提案に隠された目的であり、日本ペイントが塗料技術の基本を大切にしているからこそ、「相方」として選んだのではないでしょうか?
5.ウットラムグループの口コミ&評判を総括
ウットラムグループの口コミや評判自体は少なかったものの、日本ペイントと同様に質の高い商品づくりを行っていて、アジアや世界に向けてビジネスを展開していると言えるのではないでしょうか。
ウットラムグループ自体はシンガポールや香港などで展開されていますが、市場規模約4兆円と言われている中国ではシェアもまだまだ少ないそうです。
日本ペイントを含め、ウットラムグループでは現在の3倍以上のシェアを獲得したいと考えており、今後は中国市場への拡大を視野に入れているものと推測します。
また、ゴー・ハップジン氏による日本ペイントの経営戦略にも今後注目していきたいところです。
今後はウットラムグループと日本ペイント、双方のシェアが国内外問わず拡大していけるかが重要となってくるため、外部の意見を取り入れた経営戦略もますます重要になってくるでしょう。
さらなる成長を求めて、ウットラムグループと日本ペイントは強固な関係が築かれると考えられます。
以上から、変化し続ける経営戦略の方向性が明確であるウットラムグループは「ホワイト」であり、今後の活躍がたのしみな企業であると言えます!