株式会社日本大学事業部をご存じでしょうか?名前の通り、名門・日本大学と深い関りを持つ会社です。日大が100%出資したできた会社であり、大学側にとっては大事な収入源の1つと言われています。
しかし、どんな事業を行っているのか、詳しく知らない方も多いでしょう。
そこで今回は日本大学事業部の事業内容や会社の実態を調査してみたので、気になっている方は参考に読んでみてください。
事業内容と収益源
日大事業部は、2010年1月7日に設立されました。設立の目的は、大学に寄付や還元を行い新しい収入源を確保する目的としています。
実際、ここで行われている事業の利益の一部は日大に寄贈されています。また、日大事業部の会社登記の目的欄では70項目の事業を展開しているそうです。
まずは何が収入源になっているのか、日大の主な事業内容をご紹介しましょう。
経営はうまくいっているのか
日大事業部の実態は一般的な企業と比べて、はっきりと分かってない現状です。取引や経理について不透明だという指摘もあり、経営が順調なのか疑問視する声もあります。
しかし、2017年12月期の決算では、69億円の売上を出しています。その年は4億円を日大に寄付し、税金などを差し引いた約5400万円を純利益として確保しています。
2017年から2019年12月期の純利益と総資産は次の通りです。
純利益 | 総資産 | |
2017年 | 約5000万 | 約12億円 |
2018年 | 約1億円 | 約19億円 |
2019年 | 1億円弱 | 約15億円 |
直近では2018年に1億円の純利益が出て、総資産も19億円となっています。2019年は純利益も総資産もやや下がっていますが、2017年と比べるとマイナスになっているわけではないようです。
具体的にどれくらいの売上を出しているのかはっきりとは分かりませんが、一定の収益は確保できており、経営も安定していると考えられます。
今後もうまくいくのか
現状、経営が上手くいっていたとしても、今後はどうなのでしょうか?
ここで2017年~2019年の決算公告から利益剰余金を見てみましょう。
利益剰余金 | |
2017年 | 約1億円 |
2018年 | 約2億円 |
2019年 | 約3億円 |
毎年利益を上げている会社は利益が積みあがっているので、利益剰余金も多くなっていきます。
2019年には2億円から3億円になっているので、毎年きちんと利益を出していると考えられるでしょう。大きく事業内容が変わらない限り、学内内部の事業がメインなので順調な経営が続くでしょう。
他の大学もやっていること?
大学が企業を運営していることが珍しいと思う人もいるかもしれませんが、実は珍しいことではありません。他の大学でも日大のように企業をつくり、その事業を収入源にしているところは意外に多いです。
大学が株式会社を立ち上げるようになった背景は、少子化の流れが濃くなった1990年代からと言われています。早い段階から各大学は新しい収入源の確保に取り組んでおり、その目的で企業を立ち上げ始めたそうです。
また最近は企業が大学を作るケースも増えてきており、大学と企業のビジネスの関係性は深いと言えます。
なお、日大の年間収入は2740億円と言われています。巨額な年間収入を維持している理由には、やはり日大事業部の活動が影響しており、収益の柱になっていると言えるでしょう。
また、他の大学の子会社の売上高は20~30億円前後に対して、日大事業部は69億円の売上高を計上していました。2012年と比べて14倍にも上がっており、黒字決算が続いています。
巨額の売上を出している理由は、たくさんの事業を展開しているからというのも1つの理由として考えられるでしょう。
怪しい動きは?
日大事業部は実態が謎すぎて怪しいと疑う人もいるでしょう。まず、怪しいと言われる理由はアメフト部の関係者が役員や社員にいたという部分です。
役員には元アメフト部の監督であった内田正人氏が在籍していました。また、アメフト部の元コーチであった井ノ口忠男氏も社員の1人として、社内を仕切っていたそうです。
アメフト問題をきっかけに話題になった2人はすでに退職しており、日大の理事も辞めているので日大事業部との関りはなくなっています。
そして、日大事業部が怪しい動きをとっているという情報は出ていません。そのため、しっかり健全な事業活動に励んでいるのではないかと考えられます。
直近の動き
日本大学は様々な問題によって名誉が深く傷つけられたとして、クラウドファンディングによって新しい日本大学創設に向けて動いているようです。日本大学元副総長の牧野富夫氏や教授などと「新しい日本大学をつくる会」として活動し、クラウドファンディングも成功しています。
日大事業部というよりも日本大学の評価を本来の所に戻すための活動や、教育革命などに注目しているようです。これにより、今後さらに透明性の高い大学運営が期待できるのではないでしょうか。
調査サマリー
日大事業部は69億円の売上を出しており、直近の決算公告を見る限り経営難ではなさそうです。学内事業をメインに、様々な事業を通じて利益を確保しています。
そして、その利益の一部は日大に寄付されていることが分かりました。企業実態がよく分からず、また過去にアメフト部関係者との関わりもあったので怪しいと思う人もいるでしょう。
しかし、事業内容を掘り下げてみると日大の重要な収益源として、健全な事業活動を行っている会社であると言えます。