会社選びの条件のひとつに「年収」があると思います。「仕事内容」「勤務地」「年収」、この3つに満足できるなら、その会社で働きたいと思うのではないでしょうか。
では、「自分の年収が高いか低いか」を判断する方法は何でしょうか?私は、他人と比べることで自分の立ち位置を客観的に判断します。金銭感覚は人それぞれですから一概には言い切れませんが、他人の年収と比べることで自分の年収が高いか低いかを判断する人は多いのではないかと思います。
例えば、「同い年の人と比べて」「同じ学歴の人と比べて」「同じ会社の人と比べて」「同じ職種や業界の人と比べて」など、同じ条件の人と比べてみると客観的な判断ができるでしょう。
他者の年収を知るために役立つのが「年収ランキング」です。ランキング形式にされることで、自分の立ち位置を正しく把握することができます。週刊誌や人材紹介系の会社が「業界別の平均年収ランキング」や「企業別の平均年収ランキング」を毎年公表しています。このランキングは、自身の年収が高いか低いかを考える上で、非常によい判断材料になります。実際に、年収ランキングを基に就職先を検討する人も多いでしょう。
しかし、「企業別の平均年収ランキング」の情報だけを鵜呑みにして会社選びをすることはおすすめしません。「平均年収に騙されて会社を選んではいけない」ということです。決してこのランキングが間違っているというわけではありません。ランキング自体は正しいと思います。しかしながら、「ランキング上位の企業に入れば高い給与がもらえる」とは一概に言えませんから注意が必要です。
なぜならば、「高給取りの中高年が平均年収を押し上げているケース」があるからです。企業の多くは、年齢や勤続年数に比例して昇給させていく年功序列型の給与形態を採用しています。年功序列型には「安定」というメリットがありますが、成果主義ではないため、努力すればすぐに給与があがるというわけではありません。年齢や勤続年数とともに、右肩上がりのカーブを描くように給与が上がっていきます。
つまり、「年収」で会社選びをする人が重視しなければいけないのは、「平均年収」と「平均年齢」です。例えば、平均年齢40歳で平均年収1,000万の会社Aと、平均年収30歳で平均年収500万の会社Bがあったとします。
この情報だけでは判断できませんが、B社の方が生涯年収が高いというケースも十分にあり得るのです。「でもA社に入れば、若い頃は低給与だったとしても、40歳になれば1,000万もらえるんじゃないの?」と思う人もいると思いますが、その保証はありません。
例えば、リーマンショックの前後で企業の平均年収は大きく下がっています。リーマンショックが起きたのが2008年。前年の2007年には、平均年収が1,000万を超える日本の企業は70社ありました。しかし2009年には、平均年収が1,000万を超える企業は70社から47社に減少しました。41社のうちの31社は平均年収も前年より下がりました。
つまり、A社に入れば、40歳になれば年収1,000万円もらえるというのは誤りです。平均年収はあくまでもその年の数値であり、未来永劫保証される金額ではないのです。リーマンショックの年の新人から給与水準を大きくカットした会社もありますから、こういう会社は今50代の社員が定年を迎えたら、平均年収が大きく下がるものと思われます。
20代30代の若者が平均年収につられて平均年齢の高い会社に飛び込むことはリスクがあります。若いうちから高収入を得たい人は、年功序列型ではなく実力主義の会社を選ぶとよいでしょう。世の中には実力があれば20代でも1,000万稼げるという会社もあります。また、なるべく平均年齢の若い会社を選ぶとよいと思います。平均年収と平均年齢の両方をみて、「若いのに年収が高い会社」をピックアップすることをおすすめします。
また、一生の中で仕事をしている時間というのは非常に長いです。会社を選ぶ際には年収だけではなくて、自分が身につけたいキャリアを重視して検討するとよいと思います。