コラム

他人事ではない黒字リストラとは?明日いきなり解雇される?!

リストラと聞くと業績不振から人員整理に踏み切るという印象を受けますが、昨今のリストラは少し事情が違うようです。
東京商工リサーチによると2019年に早期・希望退職者を募集した上場企業が前年比の3倍まで急増し、対象者は1万人を超えています。

多くは業績不振からくるリストラですが、業績が良くても人員整理に取り組む、いわゆる「黒字リストラ」が少なくありませんでした。
一体何が起こっているのか、黒字リストラを断行する企業の内情についてご紹介していきます。

「黒字リストラ」とは何か?

経営悪化による業績不振から、概ね40~45歳以上の社員に早期・希望退職者を募り人員整理を行うのが一般的なリストラですが、「黒字リストラ」とは業績が好調であるにも関わらず早期・希望退職者を募ることを言います。
また、例え新入社員であっても能力のある社員には年収1,000万円などの高額な報酬を支払う制度を導入する企業も少なくないという特徴があり、黒字リストラとは単なる“人員整理”ではなく“企業の新陳代謝”と考えた方が良さそうです。

黒字リストラは誰を対象にしているのか

多くの企業が相次いで新陳代謝を図るのには理由があります。
先ごろ、政府は65歳までの雇用確保義務や、70歳まで働ける環境を確保する「定年延長」の努力義務を企業に課すことを決定しました。
年功序列・終身雇用制度を取っている多くの企業は、この努力義務に応えられるだけの体力がなく、今のうちから優秀な人材を選別したいという思惑から黒字リストラに踏み切った格好になります。

とはいえ、対象はなにも中高年の社員ばかりではありません。
中高年でも日々努力し、新しい知識を吸収することで自身をアップデートすることが可能です。
新しいことにチャレンジする意欲があれば中高年でも即戦力のままでいられますし、意欲がなければ若くてもリストラの対象になり得るという、全世代を対象にした新陳代謝が黒字リストラなのです。

黒字リストラが活発な業界とは

企業の新陳代謝を図る黒字リストラは様々な業種で行われていますが、中でも顕著だったのが製薬会社と電機メーカーといった、常に最前線の技術開発が求められる業種でした。
日々進化する技術に追いつけないエンジニアはもはや必要とされず、新しい技術を会得できる意欲的なエンジニアが求められています。

また、マニュアルがあればこなせるような単純作業やルーチン業務などはAIで十分対応できるので、導入を検討している企業は黒字リストラが活発になりやすい傾向にあるようです。

年功序列・終身雇用から実力主義への構造改革

「VUCA(ブーカ)時代」と呼ばれて久しい現代ですが、黒字リストラが行われるようになり、ますます重要視されるようになると考えられます。
「VUCA」とはVolatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取ったもので「予測不能な状態」を意味しますが、元々はアメリカの軍事領域で使用されていた言葉でした。

ところが、2010年以降、世界経済フォーラムなどで“経済や企業などにおいて環境が激動し未来の予測が困難な状況”を表す言葉として度々用いられるようになり、今ではビジネス環境で一般的に使用されるまでに定着しています。
VUCA時代において企業が求めるのは自立心があり主体的に動ける人材です。

年功序列と終身雇用が約束された時代は、入社から上下関係が変わることは一切なく、利益を生むことより上司や組織内での友好関係の維持を優先する社員も少なくありませんでしたが、黒字リストラの断行によりこの関係性は一変し、主体的に動ける人材、新しいことにチャレンジする意欲のある人材以外黒字リストラの対象と言えます。

権限を持って関われる管理職派遣という働き方

年功序列・終身雇用から実力主義へと働き方が変わっていくなか、新しい形の人材派遣サービスが伸びています。
マネージャー以上の管理職を企業に派遣する「管理職派遣」と言われるもので、早期・希望退職者や副業を認めている企業の管理職や役員クラスの人が多く在籍しているそうです。
ここ数年は登録者数も急増しており、黒字リストラが少なからず影響していることを窺わせます。

欠員のピンチヒッターから新規プロジェクトの立ち上げなど派遣の依頼内容は様々で、これまで培った豊富な知識と経験をもとに外部から新しい風を取り入れたいとの期待があるようです。
他にも、派遣でありながら権限を持って業務に関われる、業務委託として管理職を派遣するサービスを展開しているところもあります。
プロジェクト単位や分野別で経営に関わるなど、人材の専門性を活かしているので、派遣サービスというよりも管理職の外注と捉えられるでしょう。

黒字リストラは海外でも存在するのか?

世界最大の総合電機メーカー「ゼネラル・エレクトリック(GE)」には“20世紀最高の経営者”“経営者のレジェンド”と称賛された最高経営責任者(CEO)がいました。
大学卒業後、GEに就職し46歳で最年少CEOに就任したジャック・ウェルチ氏は官僚的な組織や給与の安さに不満があった経験から、優秀な社員には十分な報酬を用意し、社員の下位10%を解雇する「10%ルール」を用いて、当時の全社員の約25%、10万人規模のリストラを断行し、20年もの在任期間中は1度も減益しないという驚異的な経営手腕を発揮しました。

赤字でなくても下位10%に該当すればリストラ対象となるそのシビアなルールには批判も少なからずあり、建物は壊さず屋内にいる人間だけを標的にするニュートロン(中性子)爆弾に例えて「ニュートロンジャック」と呼ばれたりもしましたが、このニュートロン経営、昨今の日本の黒字リストラと似ていると言えます。
黒字リストラが拡大すれば似たような手法を取る企業が出てくる可能性は否定できません。

経営体力がある黒字の時にこそ既存事業の見直しが可能になる

年功序列・終身雇用から実力主義への移行は、努力し結果を出した社員が正しく評価される良い流れだとは感じられても、業績が良い時にしなくてもいいのではないか、と考える人もいるでしょうが、実は業績が好調で経営体力がある時にしか既存事業の見直しはできません。
業績不振に陥ると取り掛かるべき業務の優先順が変わるからです。

また、社員の評価は多角的にすべきものなので時間をかけて精査する必要があります。
業績不振で忙しく、また、社内の雰囲気が良くない時にリストラを行うと優秀な社員から辞めていってしまい、他に行き場のない社員だけが残るという結果になりかねないからです。

自分が在籍する企業や知人が勤める企業が黒字リストラを断行すると知ったら、不安になるのは仕方のないことですが、不必要に怯えるのは得策ではありません。
業績が好調なのにリストラを行うなんてと憤る前に自身の仕事への取り組みを見直すチャンスと捉えた方が建設的です。
VUCA時代の今、結果を出す努力を怠る社員は企業に必要とされず、新陳代謝の妨げと判断されてしまいます。
そうならないよう、年齢を理由にせずに新しいことにも興味を持って取り組み、自身をバージョンアップしていくことが肝要です。

黒字リストラを断行する企業の内情を見てきましたが、そこには日本の少子高齢化社会と年功序列・終身雇用制度の両立が難しい企業の、体質改善と構造改革が大きく関わっていました。
働き方改革関連法が順次適用されるなか、自分自身の働き方についても個々が考えなければならない時期に来ているのかもしれません。

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